セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】


「あ、あれはクラゲかしら? すごく綺麗ね!」

 水槽の中をライトで照らされたクラゲたちがふわふわ浮かんでいる、その様子はどこか幻想的で美しい。
 颯真(そうま)にはいつもは落ち着いた姿しか見せてくれなかった花那(かな)だが、今は別人のようにはしゃいでいる。

 ――こんなに楽しそうな花那は初めて見る。本当に俺の傍にいた頃とは違う女性のようだ。

 今こうして喜んでいる花那を見るのは嬉しい。それなのに以前の彼女が本当の姿を見せてくれなかったのだと思うと、颯真は少し悔しくもあった。
 五年間、本当に花那は颯真に対して本心を見せてはくれなかったのだ、と。

「颯真さん、どうかしたの?」

「あ、いや。何でもないんだ」

 少し落ち込んでしまった颯真を心配して覗き込んだ花那。お互いに過去と現在に振り回されている事には気付けないままだが、相手の事を心配する気持ちは同じだった。
 誤魔化すように颯真は奥の水槽にいるチンアナゴを指し、それに気付いた花那は颯真の手を引っ張って見に行こうとする。
 そんな二人は周りから見れば、間違いなく仲の良い夫婦に見えていた。

「やっぱり可愛いわね、触ったらどんな感触がするのかしら?」

「どうなんだろうな、にゅるにゅるして捕まえられないかもしれないな」

 真剣にチンアナゴを見る二人、そんな話で盛り上がっていると時間が経つのはあっという間だった。


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