セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
信号が変わって花那は迷うことなく歩き出す。これはもう前から決めたことで、この気持ちは決して揺るがない。
颯真に対して花那が出来る事がこれだと決めて、彼女はもう迷う事は無かった。二人の終わりに向けてのことばかりを考えて……
契約という言葉に縛られ、身動きの取れなかった花那の唯一出来る事。それが綺麗な二人の別れだったのかもしれない。
颯真に対しての感情が無かったと言えば嘘になる、けれど真面目な花那は二人を結ぶ契約を壊す勇気はなかったのだ。
——でも大丈夫、私もたくさん勉強したし。
颯真は花那が仕事に就くのを望まなかったから、空いた時間で彼女はたくさんの資格を勉強し未来の事を考えた。
今まで颯真にもらったお金のほとんどは置いてきた、少しの貯金でこれから先を何とかしなければならない。
——それでも、彼と離れればこの気持ちもいつかは消えてくれるはず。
また赤信号だ、この信号の先に市役所があるというのに。花那は今日はやけに赤信号にあたってしまうと溜息をついた。
やっと信号が青に変わり、またスーツケースを引っ張り歩き出したその時。
「危ないーー!!」
スピードを出した乗用車が信号無視のまま、花那に向かって突っ込んでくる。彼女はその様子をその場から動くことも出来ずに見ているだけだった。