セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「なんだか変な感じだな? いつもだったらこんな妙な気持ちにはならないんだが」
「妙な気持ちって? もしかして颯真さんは今こうしていることが不快だったの?」
颯真の言葉を花那は誤解して受け取ってしまう。自分に自信がないまま、颯真がどう感じているかばかりに気を取られがちで。
そんなショックを受けた花那に颯真は慌てて、そうじゃないと言って首を振った。
「なんていうのか、花那といて何だかふわふわするんだよ。こうやって君のいろんな顔を見るたび、凄く温かな気持ちになる」
颯真は今感じている事を素直に花那に話す。それがどんな意味を持っているかを、彼はまだ知らないままだったから。
だが恋愛経験が少なくとも今まで恋をしたことのある花那は違う。颯真の言葉を理解して、胸が痛くなるほどの何かを感じていた。
「颯真さん、それって……」
恋なんじゃないの? そう言いかけて花那は口を噤んだ。その言葉を今言えばきっと後悔するのは花那だったから。
――もし颯真さんが今恋をしていたとしたら、その相手はどちらの私になるの?
花那は過去の颯真を知らない、分かるのは今この目の前にいる彼だけ。
だが颯真は違う。五年間一緒に過ごしてきた花那と、記憶をなくした今の花那の二人を相手にしているようなものだから。