セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
その後は二人で当たり障りのない会話をしながら館内を見て回った。それでも珍しい魚を見つけるたびにはしゃぐ花那に、颯真は優しく頷いて……
颯真も花那も周りからは仲の良い夫婦だと見られているとは気付きもしなかったが。
「今日は楽しめたみたいで良かった。花那があんなにはしゃぐ姿を見るなんて思わなかったけれど」
「そんなに何度も言わなくても分かってるわ、颯真さんて結構しつこいのね?」
思い出しながら「ククク」と笑う颯真に、花那は拗ねて顔を背けて見せる。こんな子供っぽい姿も、以前の花那が見せることはなかった。
――素顔の花那からはどうしてこんなに目を離せなくなるんだろう? 色んな表情を見せてくれる度、心が弾むような気がする。こんな事初めてだ。
むず痒い様な甘酸っぱい様な不思議な感覚だが、それも悪い気はしない。颯真はそんな風に考えながら、拗ねてそっぽ向いている花那の手を握る。
その触れた手に驚いて花那が振り返る瞬間、溢れる様な暖かさが颯真を包んだ気がした。
「もう! そうやって驚かせて誤魔化す気なの?」
少し怒った様子の花那に、颯真は穏やかな声で花那に言った。
「花那。俺も楽しかった、また二人で来よう?」
「……ええ、そうね」
そうして自然と繋がれた手は、二人が駐車場に停めた車につくまで離されることはなかった。