セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
思い出の形の意味は
「お母さんの墓参りに行きたいの。颯真さん、今度の休みに私を母の所へ連れて行ってくれない?」
二人で水族館に出かけたお蔭か、花那は積極的に颯真に話しかけるようになっていた。どこか遠慮がちだった態度も、ようやく砕けた感じするようになっていて。
そんな花那が気になっていたのは、二年前に亡くなったという母の事だった。
一部の記憶をなくしたとはいえ、花那の中には入院を繰り返していた母の記憶がちゃんとある。そんな花那にはどうしてもいまだに母が亡くなったことを信じられないでいたのだ。
「それは構わないが、大丈夫なのか? 君はまだ気持ちがそこまで追い付いていないだろう」
そう言って花那の表情を確かめてくる颯真の顔は真剣そのもので、本当に花那の事を心配してくれているのだと分かる。
そのに胸が暖かくなるのを感じながら、花那は颯真に返事をする。
「ええ、少し不安だけど母に会っておきたいの。でも一人じゃ心細いから、颯真さんについて来て欲しくて……」
「そうか、じゃあその日は朝から出よう。俺も車の洗車を終わらせておくから」
自分の母に会いに行くのに颯真は少しでも気を使ってくれてるのかもしれない、そう思うと花那は余計に嬉しくなる。
嫌だと言わずに記憶の無い自分に付き合ってくれる颯真に感謝しながら、花那は母に会えるその日を待っていた。