セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
わざと顔を背けようとしていた花那は、颯真にそう言われてビクッと肩を揺らした。まさか真面目な颯真がそんな事を言い出すとは思いもしなかったから。
自分が恥ずかしがっている顔を見たいなんて、颯真はいったい何を考えているのか。そんな彼の言葉に花那は戸惑いを隠せない。
「別にどこも何ともありません、それに私はテレてなんていませんし……」
「じゃあこっちを向いて? 夫の顔くらい見れるだろう?」
今日の颯真は意外としつこくて、花那は返事に困っていた。顔の熱はまだ引きそうにない、このまま彼を見れば顔が赤い事はすぐにバレる。
どうすればいいのか分からず、追い詰められた気分になった花那は……
「意地悪……」
とだけ呟いてみせた。そんな花那の可愛らしい抵抗に颯真も平気ではいられなくなる。
今まで見せてくれなかった妻の愛らしい一面は、颯真の男としての感情を揺さぶるには十分だった。恋も愛も知らない颯真にも、胸の中が熱く苦しいという感覚は存在する。
一気に感情の昂った颯真は余計に花那の表情を確かめたくなり、少し強引に花那を自分のほうを向かせてしまった。
「あ……」
小さな声を花那が漏らす、抗議にもならないその声を颯真は聞こえなかったことにする。