セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「花那……」
何を言うつもりなのか自分でも分からないまま、颯真は花那の頬に触れる。今までこんな風に妻である彼女に触れた事などなかったのに、颯真は花那に触れたい気持ちを抑えることが出来なかった。
真っ直ぐに見つめ返してくる花那の瞳が揺れている、それは颯真に対する期待からかそれとも……
「お待たせしました、こちらチェーンを取り換えたので確認していただけますか?」
ジュエリーショップのスタッフに声をかけられ、二人は慌てて距離をとる。完全に二人だけの世界に入って、自分たちは何をしようとしていたのか。颯真は自分自身が信じられない気持ちだった。
「ありがとうございます、綺麗に磨いてまでいただいて……」
少しくすんでいた金属部分までとても綺麗に輝いている、花那は母が着けていた頃の輝きを取り戻したネックレスを見て胸がいっぱいになる。
そんな花那の様子を見て颯真も落ち着きを取り戻し、彼女の隣に寄り添うように立った。
「仲の良いご夫婦ですね、なんだか羨ましくなっちゃいます」
「「いえ、そんな……」」
こんな時だけ重なる颯真と花那の言葉に、女性スタッフはますます楽しそうに笑う。そんな彼女に颯真はジュエリーケースのある一点を指差して……
「このイヤリング、妻に似合うと思いませんか?」
「……えっ、ちょっと、颯真さん?」