セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
何を言い出すのかと花那は慌てて颯真を止めようとするが、彼は真面目な顔でスタッフの答えを待っている。問いかけられた女性スタッフもイヤリングと花那を交互に見ると、笑顔で答えた。
「ええ、きっとお似合いになると思います。奥様の柔らかに雰囲気にこの可愛らしいお花は、すごく映えるのではないでしょうか?」
「ですよね、俺もそう思います」
スタッフの言葉に颯真は真剣な表情で頷いている、そんな彼の行動が物凄く妻を愛している夫のように見えてますます花那は恥ずかしくなる。
――いったいどうしちゃったのよ、颯真さんは。
もしかして記憶を失う前の二人はこんな仲睦まじい関係だったのだろうか?
そう考えたが、自分が彼と顔を合わせたときはそんな感じはしなかった。もっとどこか冷めた感じの瞳で見つめあった事をしっかりと憶えている。
そんな花那をおいて会話を続ける二人は、彼女に似合うアクセサリーを探すのに夢中になっていた。
「決めた、やっぱりこのイヤリングを購入します」
「はい、ありがとうございます」
いつの間にか先ほどのイヤリングを買うことを決めてしまった颯真に花那は慌てる。可愛いらしいアクセサリーだが、そう安くはない品物だったのに。
「颯真さん、私自分で買いますから!」
「嫌だ、これは俺が君にプレゼントしたい」
まるで子供のような颯真の言葉に花那は驚いてしまった。大人っぽく落ち着いた雰囲気の颯真にそんな一面があったなんて。