セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「でも、そんな高価なもの……!」
颯真が選んだイヤリングはとても手頃な値段とは言えない、そんな物を自分がプレゼントしてもらっていいのかと花那は戸惑った。
妻という立場ではあるが彼との出会いも何も覚えていない花那は、颯真の好意を素直に受け取れない。そんな彼女を見て颯真は言葉を続けた。
「花那は俺の妻だろ、自分の大切な人に似合うものをプレゼントしたい。これは当たり前のことだと思わないか?」
そう言われればそうなのかもしれないが、今の自分たちは普通の夫婦と言えるのかと花那は悩んでしまっていた。
颯真の気持ちはもちろん嬉しいが、このイヤリングを貰うのは自分ではなく彼と長い時間を過ごした本来の花那のような気がして。
困ったように首を振る花那の両手をそっと掴むと、颯真はその手に額をつけて頼むように言った。
「一度くらいは俺の我儘も聞いて欲しい、君がこのイヤリングをつけている姿を見たいんだ」
「颯真さん……」
一度くらい、そんな言葉を使うほど颯真は花那にプレゼントを渡したかった。少しずつ近づいた二人の距離は、颯真にこんな我儘を言えるほどに彼を変化をさせていた。
颯真からのプレゼントを本心では受け取りたいと思っているのは花那も同じで、彼の言葉に心揺らされてとうとうそのイヤリングに手を伸ばしてしまった。