セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「待って、花那」
「え……?」
手を伸ばしかけた時、颯真にそう言われて驚いた花那の動きが止まる。颯真の気が変わったのかと彼を見上げると、颯真は花那を見つめたまま笑顔で……
「俺がつけてあげる」
そう言って彼は自然に花那に耳に触れた。まさか颯真がそんな行動に出るとは思わなかった花那は、吃驚してそのまま動くことが出来ない。
柔らかな彼女の耳朶を確かめるように優しく触れる颯真の指先。花那はその部分だけがジンジンと熱を持ち始めるのを感じていた。
「颯真さん、私自分で出来るから……」
過去に恋人はいたが、こんな事をされたことはない。なんだか落ち着かなくて、恥ずかしくて花那はそのまま俯いてしまいそうになる。
「うん、知ってる。だけどこれは俺からのプレゼントだから」
颯真は一度言い出すとそれを押し通してくる所があるのかもしれない。お互いの距離があった時には気付けなかった彼の本質が少しずつ見えてくるようになった。
物静かで大人の雰囲気を持つ颯真が、甘えるような我儘を言って花那を戸惑わせる。それが嫌だとは思えないからなおさら花那は困ってしまっていた。
「そう、もう少しジッとしていて……」
颯真が花那の耳元に顔を寄せ話すので、くすぐったくてたまらない。周りの人の視線を感じ花那はますます顔が赤くなっていく気がしていた。