セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
誤魔化せない感情と
颯真が花那に両親の形見を渡してくれてから数日経った。彼女は毎日父と母に挨拶をするように、懐中時計とネックレスを眺める時間を作っている。
そんな時に考えてしまうのはいつも颯真の事で……彼が何故この形見を隠して持っていたのか、どうして花那に謝らなければならなかいのかとそんなことで頭がいっぱいになる。
颯真は記憶をなくした花那にとても優しくしてくれる、なのに彼は花那が距離を詰めようとしたときに必ず少し戸惑った顔をするのだ。颯真からは花那が困った顔をしても近づいてくるのに。
「これの時だって、颯真さんは我儘を言って……」
颯真からプレゼントされたイヤリングは小さなジュエリーボックスの中でキラキラと輝いている。あれから彼は二人で出かける時は必ずつけて欲しいと強請ってくるようになった。
包容力のありそうな年上男性の颯真から甘えられると、何とも言えないくすぐったい気持ちになる。それに気付いた颯真は、何度もそうやって花那をうまく転がしてしまっているのだ。
新しく颯真が買ってくれたスマホは彼の番号しか入ってない。事故の前のスマホはないのかと聞いたが、壊れてしまって処分したと聞かされた。
それ以上は詳しく聞ける雰囲気ではなかったが、颯真はまだ何かを花那に隠しているような気がして……
「知りたいと言えば、きっと颯真さんを困らせてしまうわよね」
と、小さく呟くだけだった。