セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「そういえば今度の休みに二人で出かけたいと思っているんだ。花那に予定が無ければ、だけど」
花那の作った夕食を先に食べ終えた颯真がスマホでスケジュールを確認しながらそう言った。その言葉に花那は困ったように笑って見せる、わざわざ確認しなくてもいいのにと言うように。
今の花那には颯真以外に出かける相手などいない、予定など作りたくても作りようがなかった。
「私はいつでも大丈夫よ、今度はどこに行きたいの?」
花那はてっきり颯真が以前の彼女と行ったところに連れて行くつもりだと思っていた。そうやって少しでも花那の記憶を取り戻そうとしているのだと。
だが颯真の答えは違っていて、仕事用のカバンから人気のお出かけ情報誌を取り出しそれをテーブルの上で開いてみせる。
「こことか、どうかなって思ってるんだけど……」
颯真が指差したのはオープンしたばかりのオムライス専門店で、少しテレた様子を見せて颯真は話を続ける。
「俺、実はオムライスが好きで。君には子供っぽいって笑われるかもしれないけれど……」
それは以前の花那には話してはいなかった颯真の秘密、今の彼女なら自分の事を受け止めてくれるはずだと思った颯真の言葉だった。
そんな風に自分を信頼して話してくれる事が嬉しくて、花那ははにかむ様に微笑んだ。
「笑わないわ、私だって子供の頃からオムライスは大好物よ?」