セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
まだオープンしたばかりのお店、以前の花那とは行ったことのない場所に誘われたことが嬉しかった。颯真はそう思っていなくても、花那はいつも今の自分と比べられているような気がして落ち着かなかったから。
記憶を戻すには必要な事だと分かっていても、少しずつ心がついて行かなくなっている気がして……
そんな時にこうして颯真が花那と出掛けたいと言ってくれて、隠していたことまで話してくれた。それだけで彼女は喜びを隠せなくなる。
「そうか、よかった。君に嫌だと言われたらどうしようかと思ってたんだ」
「言わないわ、そんな事。颯真さんがそういう情報誌を見ているのは意外だったけれど」
花那は颯真が手に持っているお出かけ情報誌を指差して笑って見せる。何でもスマートにこなしてそうな彼のイメージがどんどん変わっていく。でもそんな颯真を見ているのは楽しい。
「意地悪だな、今日の花那は。俺だって特別な相手をどこかに連れて行くときには色々調べたりもする」
「特別な相手って……」
今度は花那が困ることになる番のようだ、颯真の事を揶揄っているつもりがいつの間にか意味深な言葉を返され戸惑うことになる。
今の自分なのか、それとも以前の自分の事を言っているのか……花那には判断がつかない。
「もちろん花那のことに決まってる、君は俺の妻だろう?」