セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
約束の日の朝早く、花那は鏡に映った自分の姿を念入りに確認していた。
耳につけているのはあの日、颯真からプレゼントされたイヤリング。今着ている淡いピンクのリブニットと白のマーメイドスカートも彼が選んでくれた物の中から悩んで決めた。
自分の中でああだこうだと理由をつけて颯真を好きな事を隠そうとしていても、花那は二人で出かけることが楽しみで仕方なかった。
これくらいは夫婦として当たり前のことだし、記憶を戻す役にも立つかはずだからきっと許される。そうやって誰に対してもする必要のない言い訳を心の中で繰り返しながら。
「……良かった、その服もイヤリングも俺が想像していたのよりずっと似合ってる。そのニットもなかなか着てくれないから気に入らないのかと思ってた」
「明るい色は少し恥ずかしくて。でも今日は颯真さんが隣にいてくれるから……」
普段は地味な服から選んでいることがバレているのだろう、それでも颯真は文句など一言も言わなかったが。
だが二人で出かければ容姿の整った颯真ばかりが注目され、自分など見向きもされない。そう思った花那は、今日は颯真の好みそうな少し明るめの服を選んだのだ。
「そう言われると緊張するな、こんな綺麗な妻を連れて出かけるんだから」
「……颯真さんって意外と口が上手いのね、もっと無口で不愛想な人だと思ってたのに」