魔法の恋の行方・シリーズ5・ダリウスとリセ・おまけの続編
<アラステアの山荘・寝室・その2・リセの回想>

まだ少女の時、
リセは薬草摘みに野原に出た。
野原には、
美しい花がたくさん咲いていた。
リセは一輪の花を摘み取り、
耳元にさしてみた。

この間、
学校の図書室で読んだ・・
その時の本の挿絵(さしえ)

可愛らしい少女たちが、
花輪を頭に飾り、
楽しそうに手を取り合って
ダンスをしていた図版
リセも、
少しまねをしたかったのだ。

帰宅して
祖母に、薬草のかごを
渡そうとすると
「おまえ、頭にゴミをつけて」
と、怒鳴られた。
リセは(あわ)てて、耳元の花を取ったが

「おまえのようなヒキガエルが・・
なにをやっても無駄だ。
身の程を知れ。鏡を見るがいい」

祖母はそう言うと、
リセの手にあった花を
つまみあげ、ゴミ箱に捨てた。

「早く、
外の井戸で薬草を洗うんだよ、
ぐずぐずしないで!!」
祖母は薬の調合を、別のテーブルで始めた。

リセはうなだれて、
薬草とゴミ箱の花を、
急いで拾い上げて井戸にむかった。

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