【短編】コンビニ
「え、、い、良いですよ」


そんな僕の緊張をよそに
彼女は少し右側に詰めてスペースを作ってくれる。

年上の余裕ってやつなのか。
彼女の一挙一動にドキドキしている自分なんて
弟のようにしか見えないのだろうか。
そう思うと少し悔しかった。



「君、ここの生徒なんだね」
「あの!その‘君’って呼び方やめません?」
「え、だって名前…」
「宮村廉っていいます」
「廉…くん…」
「あの、お名前は?」
「あ!すずです!大原すず」
「他の人はなんて呼んでるんですか?」
「すず、かな」
「じゃあ、すずちゃん」
「え」

「だって他に呼んでる人いないんですよね。
僕だけの呼び名だ」


恋愛対象に入りたくて。
僕だって男だって意識してもらいたくて。
少しでもすずちゃんの印象に残るように。
特別になれるように。

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