【短編】コンビニ
あ ってまた声にもならない声が出た。

他の子が自分なりに着崩していたから
気づかなかったけれど
男の子の着ている制服。
ここの制服だ。

第1ボタンを閉め
ネクタイもしっかりと結び、
腕のボタンまできっちりと閉めていて。
正直かっこいい着こなしではないけれど
この子がするとなぜだかかっこよく
清潔感のあるように見えた。




「あの、そこ。僕の特等席なんです」

男の子は私の座っているベンチを指さす。

「別館なんて普段も誰も来ないから
静かで居心地よくて」


「そうなんだ!あ、ごめんね勝手に座って」



慌てて立とうとする私に
男の子は少し目を逸らした。
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