君へ贈るスカーレット
紬は洗面所で顔を洗い歯磨きを済ますと布団を押し入れにしまってパジャマからコパンの制服に着替えた。
紬はこの制服が個人的に好きだった。
丸襟の付いた水色のワンピースに清潔感のある白いスカーフを襟元に巻いて、腰から下に付けるタイプの白いフリルが付いたエプロンに白い靴下、ストラップが付いた踵の低い黒い靴を履いて、肩の辺りまである栗色の髪を綺麗にまとめてポニーテールにして白いリボンを付けて完成。
これが紬の仕事スタイルだった。

二年前の東京オリンピックや先月のビートルズ初来日の影響からか
最近東京に外国人が観光に来るようになっていてこの喫茶コパンにも度々外国人のお客さんが入ったりしているので紬はお父さんにお願いして買ってもらった英単語の本を頼りに毎朝一時間早く起きて簡単な英単語の勉強を始めていた。

けれど実際は読むのと聞くのとでは全然違いそう簡単には聞き取れず困っていたが英会話スクールに通うお金など無く自力で何とかしようと努力していた。
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