君へ贈るスカーレット
不良少年「慶応の学生なんて嘘なんだよ··今ビートルズの影響で英語を覚えたい女子が増えてるから、お前みたいな世間知らずのお嬢ちゃんに有名大学の学生のフリをして英語を教えるって近付いてお金だけ巻き上げてとんずらする詐欺が増えてるんだ··」
紬「嘘··」
不良少年「アイツがもし本当にただの厚意で英語教えてる慶応の大学生だったら··ボタンにも慶応のマーク付いてただろうし、俺にやっかまれたとしてもあのタイミングで逃げたりしないだろ··」
紬「なるほど··確かにそうですね··でも、どうして詐欺だって分かったんですか?」
不良少年「前にもこの古本屋であの男に全く同じ手口で騙された女を見たことがあったから··」
紬「そうだったんですね··ありがとうございました!貴方には助けられてばかりですね··」
不良少年は耳を赤くしながらも言った
「べつに、偶然通りがかっただけだ··」
紬「やっぱり貴方は優しい人なのね!」
不良少年「優しくなんかない」
紬「優しいわよ!だって詐欺だって分って助けてくれたんですもの!見て見ぬふりだって出来るのに、貴方は迷わず助けてくれた··それって本当に心が綺麗じゃないと出来ないことでしょう?」
不良少年「俺が優しい奴に見えるだなんて可笑しな奴だな··」
紬「貴方がなんと言おうと私はそう思ったんだからいいじゃない!ねぇっ貴方名前は?」
不良少年「人に名前聞く時は··」
紬「私は円山紬!」
< 39 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop