ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「……なんて、ごめんねこんな話。白井さんは──」
「織くんっ!」
私は、持っていたフォークを置いて織くんの声を遮った。
「ん?」
「織くんは、甘いもの、好きですか!」
「うん。好きだけど、」
よし。
「よかった!じゃあ、プレゼントの買い物が終わったら、私と一緒に、愛菜さんのバースデーケーキ、作らない?!」
そう言うと、織くんが目を開いた。
今日くらい、ちょっと盛大にやってもいいんじゃないかって思うから。
織くんが少し後悔しているのなら尚更。
「手作りってこと?」
「うん。私も愛菜さんにはお世話になりっぱなしだし、なにかしたいなって。お部屋もかわいく飾ったりしてさ!」
勢いでそう言ってしまったけど、大丈夫だろうか。
織くんは、こういうイベントごと苦手なタイプかも知しれないし、なんて、そんな心配があとからよぎって。
「あ、でも、全然!織くんがそういうのあんまり……って言うんなら、その、」
「やりたいっ」
「っ、」
織くんが、瞳をあんまりキラキラさせながら言うから、トクンと胸が鳴って。
その表情……反則すぎるよ。