ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「……あの、織くん、」
リビングのソファに座りながら。
私は、またも織くんに髪の毛を乾かしてもらっている状況。
……この間も、こういうことあった。
「ん?」
後ろから、いつもより近くで耳に響く織くんの声に胸が鳴る。
「えと、なんだか、しょっちゅう織くんに髪の毛を乾かしてもらってる気がして……申し訳ないと言うか、なんというか」
「白井さんの髪、乾かすの好きだから。お風呂終わり毎日、俺の部屋に来てもらってもいいよ」
「はっ?!」
思わず顔をグリンッと織くんの方に向ければ、ククッと笑った彼が「冗談」なんていう。
いや、冗談なのは知ってるよ。
それを織くんに言葉にされるだけでやばいんだよ!
「私ばっかりこうしてもらっているのは悪いので!!私も織くんの髪を───」
身体ごと織くんに向けてそう言いかけて、続きのセリフを飲み込んだ。
いくらなんでも、私が織くんの髪に触れるとか、そんな軽率な行動していいわけがないじゃないか。
身の程をわきまえてくれたまえ、白井。