ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「あのっ、織くんっ、愛菜さん……来ちゃうよっ?!……っ、ていうか、なんで!!」
愛菜さんはさっきお風呂に入ったばかりだからあと2、30分は出てこないだろう。
なのに、とっさに出てきた言葉がそれだった。いやだって!
もし仮に愛菜さんが早く出てきちゃって見られちゃったらどうすんの!織くん!
「……いいんじゃない。見られても。愛菜さん、俺と白井さんがそういうことになるの望んでるみたいだし」
「いやっ、」
いやいやいやいや!!
なんで!!
ダメじゃん!!
織くんはそれを望んでいないじゃないか!!
好きな子いるんだから!!
「……ありがとうの、ハグだよ。だからそんなに嫌がらないで」
「い、嫌がっては!!」
びっくりしてるんだよ!!
織くんにそう言われちゃあ、身をよじることもできなくて1ミリも動けまいと固まる。
なんでこんなことするの織くん……。
あぁ、さっき、ありがとうのハグだって言ってたか……。
すごいアメリカンスタイルなんだね、織くん。