ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「……はっ、ごご、ごめん、なさいっ!!」


とっさに謝って織くんから離れようとした瞬間。


離そうとした手を織くんが掴んだ。


「いいよ。終わるまでこうしてよ」


「えっ……」


織くんの手が、ゆっくりと私の手のひらに重なって。


そのまま私の指と織くんの指が絡む。


へっ?!


「あの、織くん、これはっ、」


いわゆる、恋人繋ぎというやつだ。
な、なんてこった。


こんな時にするなんて。
あまりにもずるい。


「……ごめんね、意地悪して。白井さんの怖がってる顔見たくて誘ったっていうのも少しあって。本当にダメだったら止めるから」


「っ、」


そんな……しゅんとした表情で言われても!!


私の怖がる顔が見たかった、なんて。
そんなこと言われてキュンとしてる私も私だし!!


「いや!全然大丈夫っ!けど!その!手がっっ!」


「こうしたら、ちょっとは怖くなくなるかなって」


「怖くなくなるというか、織くんのことしか考えられなくなるというか、」


ホラーも織くんもどっちも心臓に悪くて、おかしくなっちゃいそうだよ……。


「……うん。いいね」


いや、いいねって……!!なにが!!

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