ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「ちょ、あの、織くん……こ、こういうのはちょっと、」


「ん?どういうの?」


そう聞いてきた口元は片方だけわずかにニッと上がっていて。


わざと聞いてるんだとわかる。
織くん……面白がってるよ。


「だ、だから、こんな近いのとか、触ったり、とか、」


「白井さんが悪いんじゃん。男とふたりきりの時にそんな顔するんだから」


っ?!


お、男って。


いや、織くんは確かに男だけど!!


性別という概念を超えた美しさがあるから、あんまりそういう認識はないといいますか。


めぐちゃんが言ってたように、男っていうのはもっと汗臭くてうるさくて下品で……。


その、だから……。


織くんはそういう輩と同じ生き物じゃないってことで。


「白井さんよく、俺のこと、推し?だって言ってくれるけど、さっき見たみたいなこと、俺にされても、同じこと言えるの?」


「えっ、」


何を言っているんだ、織くん。

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