ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「白井さんが思ってるよりもずっと、欲まみれだよ、俺」
よ、欲って。
そんなワードがこんなにも似合わない人が未だかつていただろうか。
そんな涼しい顔で言われても、まるで説得力がない。
と、言いたいとことだけど、その瞳はいつになく色っぽくて、全くそらそうとしないから。
どんどん心拍数が上がってしまうなか、目線をこちらから背けて、口を開く。
「仮に、そ、そうだとしても……織くん、好きな子いるんだから。こういうのは、好きな人にしかしてはいけないと思います」
こんなに必要以上に密着したり触れたり。
恋人同士でもない人たちがそうしてはいけない。
「……俺の目、しっかり見ていってよ」
「っ、」
いつもより低い色っぽい声でそう言った織くんが、私の顎に指を添えて。
強引に目を合わせられる。
あぁ。
目を見てだと、途端に言えなくなってしまう。
織くんに触れられることが、……イヤじゃないから。
というか!!今日の織くん意地悪すぎやしませんか!?
いや、私の描いたあのステーキを無理やり見ようとしていた時から薄々そんな要素あるとは思っていたけど!!ホラー映画は見せるし!!