ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「白井さんは、俺に触られるの、イヤ?」
「や、イヤとかじゃ、なくて……なんだ、その、命に関わると言うか、」
「イヤじゃないならいいでしょ?好きな子に触れるときの練習。もっとアピールした方がいいってアドバイスくれたの、白井さんだよね?」
「……っ、」
「白井さんにしか頼めないよ、こんなこと」
だっ、その言い方はずるいよ織くん。
相手が織くんじゃなかったらとっくに突き飛ばしている。
でも、目の前にいるのは私の大好きな推し。
いつだって私は織くんのいちファンとして彼の幸せを強く願っている。
私みたいななんの取り柄もない人間が、少しでも織くんの役に立てるのなら、私にできることならなんでもしたいって思うよ。
そりゃあ、利用されることさえありがたい。一年の頃からずっと遠くから眺めていた、憧れの人なんだもん。
推しからこんなにお願いされることなんて人生でない!!