ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
彼の手のひらが、滑らせるように私の頬を撫でて。
人から、しかも男の子からこんなふうに肌を触られるのは初めてで、心臓がバクバクしすぎて壊れそう。
それに、相手はあの織くんだ。
もう、思考停止してしまいそう。
そんな私におかまいなしに、目の前に影ができたかと思うと。
織くんの顔が私の耳元に迫ってきた。
「あっ、ちょっ……」
首筋を彼の唇がゆっくりなぞるように這うから。背筋がゾクッとして体が反射的に動いてしまう。
なにこれっ。
織くん、こんなことしちゃうの?!
これじゃまるで、さっき画面越しに見てたヒーローと同じ───。
『白井さんが思ってるよりもずっと、欲まみれだよ、俺』
さっきの織くんのセリフを思い出して、さらに心拍数が上がって。
「っ、おっ、織くんっ……くすぐったいっ」
「……気持ちいいの間違いだったりして」
っ?!
耳元で吐息混じりに囁かれて、さらに身をよじる。
無理だ。こんなの。
織くんの唇が、私の首に、触れている。
意味がわらない。
織くんの唇が、手が、触れるたび、体が溶かされていくみたいにどんどん力が抜けていく。