ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「んっ、待っ、」


いよいよ、死んでしまう。


推しが……。
推しの手が……。
自分の肌に触れているなんて。


今までに味わったことない異常な動悸がおさまらなくて。もう何も考えられなくなってしまいそうなのに。


泣きそうなのはなんでなんだろう……。


それに、心のどこかで、このまま最後まで流れに任せてしまうことが、怖いとさえ感じてしまって。


織くんに触れてもらって嬉しいはずなのに。


織くんの役に立てるなら、そう思っていたはずなのに。


織くんが、別の女の子に、こんな風に触れたがっているのかと思うと、胸がギュッと掴まれるように苦しくて。


あぁ、織くんファン失格だ───。
そう思って目をギュッとつぶった瞬間だった。


「……もっと、意識してよ」


耳元で小さくそんなセリフがささやかれて。
同時に服の中の手が、スルリと手が離れ。


「……おしまい」


そんな声と一緒に、おでこにキスが落とされた。

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