ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
『そんな簡単に次とか無理だよ。だって物心ついた時からずっと一緒にいたんだよ。両想いになれなかったことももちろんつらいけど、正直すっごく寂しくて……家族みたいに、となりにいるのが、当たり前だったから。そんな中ああいうの見ちゃうとさー』
『んーそうだけど……』
まだ、誰かに恋をしたことのない俺には、あまり理解できない話。
そう思って、今度こそ勉強に集中しようと参考書に目を向けたときだった。
『うん。……でも、輝ちゃんの言ってることもちゃんと、わかってる。……ぐずぐず考えてる時間、もったいない』
『おぉ、初花の口からそのセリフが出てくるだけ大きな進歩だ。偉いぞ!』
『うん、だからね、輝ちゃん。私……水霧受験することにした!』
え。
彼女のその言葉に、シャープペンを動かしていた俺の手は、完全に止まった。
今、水霧って言った?