ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
『うーん……大丈夫!いい、これで!』
『えっ?!なんで!向こうのミスじゃん!私言ってこようか?!』
『いや、いい、いい!大丈夫っ!ほらさっきすごく混んでたし、ちょっと迷惑かなって。それに、私ももっとハキハキと注文すればよかったんだ。たまには冒険も大事だしね!初めて食べるな……ここのフィッシュバーガー』
意外だと思った。
あんなに大きなため息を堂々とついちゃう彼女なら、そういうこと抵抗なく直接店員さんに言うんじゃないかと思っていたから。
本来食べたかったものが食べられないってだいぶ気分落ち込んでしまわないのかな。
今日初めて見かけた子のことを心の中でそんなふうにいちいち心配してしまう。
『えーー。初花、そういうところあるよね……そんなんだと世の中損するよ。……て、聞いてないし。初花がいいならいいけどさ……』
そんな友人の声とともに、白井さんがハンバーガーの袋を開ける姿が視界の端に映って。
パクッと一口食べた彼女の瞳がみるみる内にキラキラと輝きだして。
『っ!!……わ!!ここのフィッシュバーガーうま!!』
と嬉しそうに発したのを見て。
ものすごく美味しそうに食べる子だな、と思った。見てるとお腹が鳴ってしまいそう。