ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


『あらそう……よかったね!』


『うん!輝ちゃん、私、全然損してないよっ』


『……なんだ、聞いてたんか』


『へへ。もし今日ここでいつも通りてりやきバーガーがきてたら、私、多分一生フィッシュバーガーのこの美味しさに気づけなかった!一生食べないままだったかも。そんなのそれこそ損してる。だからむしろ私は今、めちゃくちゃ得してる!』


彼女のその言葉が衝撃的で。
なんだか俺はすごく胸が熱くなって。


純粋に、ものすごく素敵だって思った。


そんなふうに考えられたら、どれだけ人生が楽しくなるだろう。


『ふはっ、初花らしいね。失恋して負のオーラ出しまくったと思ったら、美味しいもん食べた瞬間、スーパーポジティブ発言するんだもん』


『え、そうかな?』


へへへ、と照れたように笑った白井さんの頬が少し赤くなってて可愛くて。

< 170 / 277 >

この作品をシェア

pagetop