ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
『え……輝ちゃんすごい……そんな風に聞いたら、私めちゃくちゃ良いこと言ったみたいじゃん!そう!そういう意味!そう思ったら、よけい元気出てきたよ!』
『ふはっ。そうって……。うん。初花はいい子だから。絶対、いつか素敵な恋できるよ。今、苦しい思いしている分。必ず』
『……輝ちゃん、泣きそう』
『運命のフィッシュバーガー王子との出会いのために!頑張ろう!初花!』
『……それはちょっと一気にダサくないですか』
『初花が言ったんじゃん』
『いや、フィッシュバーガー王子とは言ってない!』
ふたりの話を聞きながら、俺は、さっき食べ終わってトレイにくしゃくしゃに丸めたばかりのフィッシュバーガーの包み紙に目を向けて。
耳がものすごく熱くなるのを感じた。
風邪や熱以外で、そんな風になったのは生まれて初めてで。
それから、1年が経って。
無事に水霧に入学できた高校1年の春。
校舎で白井さんとすれ違った時は、心臓が飛び上がって思わず振り返ったのを覚えている。
あの日と違って、伸びた髪を2つ結びにしていて。胸がキュンとした。