ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
同じクラスにはなれなかったから、どうやって話しかけよう、どう距離を縮めようってずっとそんなことばかりで頭がいっぱいで。
そんな中、彼女を目で追っていたら。
どんどん惹かれていってた。
いつも笑顔で楽しそうで。
行事ごとも一生懸命で。
そうやって遠くから見ているうちに、高1の秋になり。
移動教室後、廊下の角を曲がろうとした寸前。偶然、白井さんがクラスの友達と話しているのを聞いてしまった。
『初花は、柳瀬くん、だっけ?』
『え!!いやいや!!私のは恋愛じゃないから!推し!目の保養!織くんは推し!恋愛対象では断じてない!』
そんなセリフに、ショックを受けた。
恋愛対象では、ない。
喉の奥が痛くてしょうがなくて。
『まぁ、織くん、告白されても誰とも付き合わないっていうしね〜』
『うん。織くんってみんなのものだし、ああいうキラキラしてる人を学校で毎日見られるだけで、十分モチベーションになる。それ以上は求めん!』
『まぁね、でもわかる。柳瀬くんってみんなの憧れって感じだもんね』
『そうそう独り占めになんかしちゃいけないのよ彼は!』
なんて言った白井さんの声に、ひどく胸が締め付けられた。