ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


それから、1年が経ち。
高校2年の秋。


愛菜さんから、職場の同期の方が出張するため、その方の娘さんを出張が終わるまでの3ヶ月間、うちで見たいという話をされて。


その名前を聞いた時の衝撃を今でもよく覚えている。


『白井 明子さんっていう方で。娘は初花ちゃんっていうんだけど、織、知ってる?』


『えっ……』


笑われるかもしれないけど……。


運命だ、って思った。


あの日、ハンバーガーを食べながら白井さんたちがしていた話が思い出されて、頭の中で一気に再生されて。


このチャンスを、絶対に逃しちゃいけないって思った。


この同居をきっかけに、俺を少しでも、『推し』なんてものじゃなくて『異性』として意識してもらえるならって。


でも……。

< 174 / 277 >

この作品をシェア

pagetop