ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「初花……」
恐怖で震える手を、めぐちゃんがギュッと握って包み込む。
「初花にはうちらがいるから。他にもどんな些細なことでもいいから何かあったらすぐうちらに話して」
「うぅ、しゅーちゃん……」
しゅーちゃんの言葉に、目の奥が熱くなる。
「とりあえず、この写真のことどう説明するかだよね」
とちーちゃんが腕を組んで、んーと考える。
「……みんなに話す前に、1回、織くんと話した方がっ、」
「白井さん!」
突然聞こえた、私の名前を呼ぶ声に、めぐちゃんの声が遮られる。
音が聞こえた3階に向かう階段を見上げる。
ホームルームが始まるまであと5分の教室の外には、今はもうほとんど人がいない。
そこに響く大好きな声に、癖のように胸がキュンと鳴った。
いつもよりもだいぶ焦ったような声。
「織くんっ」
「はっ、本物っ!」
私に続いてしゅーちゃんが心の声を漏らし、めぐちゃんとちーちゃんは揃って口元をおさえて目を見開いたまま階段を下りてくる織くんを見つめている。