ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
事前に部屋に送ってもらっていた、荷物の入った段ボール2つ。
よく使う必要最低限のものだけが入ったそれを1つ開けると。
いちばん上にポンと手帳が一つ。
とりあえずそれを机に置こうと段ボールの中から取り出したら。
手帳から飛び出した一枚の写真が、ひらっとツルツルのフローリングに落ちた。
うわっ……。
慌てて拾って、写真を見つめたままベッドに腰を下ろす。
「楽しかったな……この頃」
ボソッと呟いた声が部屋に消えていく。
この写真を宝物みたいにずっと持っているんだから、未練がましいにも程がある。
写真は小学4年生のころ、うちと広夢の家族と一緒にキャンプに出かけた時のもの。
両手におにぎりと串焼きを持っている私と、太陽みたいな眩しい笑顔でピースしている広夢。