ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「ほんと信じらんない。よりによってなんでこんなブスが織くんと──」
そんな面と向かってブスって……。
「……今の話、ほんと?」
へっ……。
上から降ってきた声に視線を向ければ。
こちらに降りてくる織くんの姿が見えた。
な……なんてタイミングなんだ。
吉村さんの顔を見たら、あからさまにヤバいって焦った顔をしてる。
「織くん……なんでっ、」
私より先を歩いていた織くんは、とっくに教室に着いているはずなのに。
戻ってきてくれたの?
「白井さんのことやっぱり心配で」
「はっ……」
その優しさにまた今日もときめいてしまう。
朝、織くんは私を心配して何度も一緒に教室まで行くと言ってくれたけど。
噂が広まっているなか織くんと並んで歩く自信は私にはなくて。
大丈夫だから先に行ってほしいと頼んだけど。
まさか戻って来てくれるなんて……。
王子様の最上級ですか。