ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「白井、今、腹なった?」
っ?!
うそだろ……と思いながら顔を上げれば、一緒に作業していたクラスメイトの山口くんが笑っていた。
oh〜。
「え、や、山口くんのじゃないの?」
とっさにしらばっくれながら、メニューの色塗りを再開しようと目線を逸らす。
「はぁ〜?人に罪を着せるとかいい度胸してんな。俺そんな下品な鳴り方しないわ」
「下品って、女子にそれ言う?山口くんってデリカシーないね」
「いや、デリカシーないのは白井のほうだろ。人前で腹鳴らすなんてよ」
「生理現象だから仕方ないでしょ?」
クラスのムードメーカー的な存在の山口くんとは、学園祭の作業の班が同じになって話すようになったけど、
彼はなにかと私に当たりが強い。
まぁ、私がそれに対抗してしまうのがいけないんだろうけど。
でも、山口くんと話していると、不思議と広夢と話していた頃を思い出すから。
お互い、ああ言えばこう言うって感じで。
向こうが気さくに話しかけてくれる分、あんまり気を遣わないで話せるのかも。
扱い酷すぎないか、と思うところもあるけれど。