ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「初花!午後の織くんの舞台、観に行くよね!」
テントの後ろで水分補給していると、隣にめぐちゃんもやってきて一緒に水を飲む。
「えっ、あ……う、うん」
「えぇー何その反応」
「めぐちゃんのせいだよ……」
「はっはーん。織くんのこと意識した途端、どうしていいか分からなくなっちゃったか」
とニヤニヤしているめぐちゃん。
悪いやつだ……。
「なんでそんなに楽しそうなの!私は、織くんと穏やかに同居生活を過ごせればそれでよかったんだよ、なのに……」
「白井さーん!補充のお箸ってどこー?」
「え、あ、一番上の段ボールだったと思う!」
ここじゃあ落ち着いて話もできない。
いや、だからこそありがたいんだけど。
「舞台の織くん楽しみに、午前中頑張ろ!」
めぐちゃんは私の肩を強めに叩いて持ち場に戻った。
……まったく。