ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
体育館に着くと、どこも人で溢れ返っていた。
というか、織くんたちのクラスの番が近づくにつれて、体育館にやってくる人が一段と増えた気がする。
「すごい人だね」
「ほとんど織くん目当てでしょ?」
「まぁね。あの織くんのタキシード姿なんて全人類拝みたいだろうし」
私たちはなんとか立ち見できる場所を確保することができ、一年生のダンスを見ながら、次の織くんたちの舞台が始まるのを待つ。
手元にあるプログラムに視線を落とす。
【13:30 ミュージカル・シンデレラ】
織くん主演の舞台だ。
クラスの推薦で決まったってこの間話してくれた。
「1年4組の皆さん、ありがとうございました」
「あ、始まるよ!」
1年生のダンスが終了しアナウンスが聞こえ、めぐちゃんの声で目線を舞台に戻す。
「続きまして、プログラム第3回は、2年5組による、ミュージカル・シンデレラです。ダンス部の生徒が中心となって振り付けした舞踏会のダンスシーンにぜひ注目してください」
と続くアナウンスが体育館に響く。