ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


私の最初の心配は全然無用なぐらい。
織くんは俳優さん並みのナチュラルなお芝居をしていて。


緊張なんてまったく感じられない。


織くんの隣で華麗に踊るのは、ダンス部の中で一番可愛くてダンスが上手いと評判の良い辻さん。ライトブルーのゴージャスなドレスがものすごく似合っている。


ふたりが並んで踊りながら時折目を合わせるたびに会場は盛り上がって。


すごいな……織くん。


今までのお芝居もダンスもとても初心者には見えなくて。


「織くんやっば……」


「もう輝きすぎて半分見えてないよ……」


しゅーちゃんやちーちゃんも隣で声を漏らす。


シンデレラ役の辻さんをスマートにエスコートしながら踊る織くんに、みんな夢中だ。


それに比べて私は……。


上はクラスTシャツに下は学校指定のジャージで客席の隅っこで織くんを眺めている。


なんだか、私と織くんの距離の差を改めて痛感しちゃう。

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