ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「う、うそだ……」


「じゃあ、自分で頬つねってみたら?」


織くんにそうすすめられて、私はすぐに自分の頬に手を持っていって強めにつねる。


「っいっった!!」


実に、痛いである。


ど、ど、ど、ど、どうしよう。
これってつまり……私は本当に……。


「ほ、ほ、ほ、本当に、お、お、お、織くんのうちってこと?!」


驚きのあまり、ガバッと布団から起き上がって、ベッドの端ギリギリに飛んで彼から距離を取る。


「うん」


こんなに爽やかな『うん』私は知らない。


嘘でしょ。


目の前にいるの、本物の柳瀬 織くんなの?!
いやそりゃ、夢にしてはすごく生々しいと言うかリアル感があるとは思ったけど……。


いやでも!!


愛菜さん、愛菜さんの苗字……!!
あ。

そういえば私、聞きそびれちゃってたんだ。


ママとのお別れで頭がいっぱいで、このうちの表札を見るのもすっかり忘れていた。


……な、なんてこと。

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