ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


ヒュウッと冷たい風が吹いて。


寒さで口元に両手を持っていってハァーと手のひらに息を吹きかけていると、


スッと伸びてきた織くんの手に手首を掴まれた。


そしてその手はそのまま、織くんのコートのポケットの中へ。


こ、これは!!


そう。


織くんは、今まで以上にこうやって触れてくることがすごく増えた。


今回は私が寒がっていたせいだけど。


それでも、こんな恋人同士がしそうなことを!!


「白井さん、手袋とコートは?」


「えっと、マンションに……」


12月中旬まで織くんのところでお世話なる予定だけどコートや手袋なんかの冬物は荷物になるからと、


必要になってから自宅のマンションに取りに行こうと思っていて。


完全に忘れていた。


「そっか。じゃあ今から一緒に取りに行く?」


「え、いいの?」


「うん。白井さんのマンション、見てみたいし。今日行って覚えたら、同居生活が終わっても白井さんのこと送り迎えできるもんね」


と、織くんが笑う。


ずるいよ……そんな嬉しそうに言うなんて。


同居生活終わっても一緒に学校行ってくれるんですか織くん……。


というかまず、私がちゃんと織くんの気持ちに返事をしなきゃなんだよ。


そうして私たちは、私のマンションにふたりで向かうことになった。

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