ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。

こうして仲良くワイワイふざけ合える友達や、見ているだけでハッピーになれる推しがいるだけで、私は幸せなのだ。


「てか聞いたー?3組の吉村さん、また織くんに告ったって」


と私たちの情報屋めぐちゃんがさっきよりも声のボリュームを下げて言う。


「え、まじ?懲りないね〜去年からだよね。確か。もう4、5回目?」


「はあ〜ここまで来ると感心するわ。織くん、告白されても付き合わないってみんなが知ってることだろうに」


「だよねー」


と私も同調する。


織くんはモテる。すこぶる。
でもそれはほとんどの子が、観賞用として、ファンとしてなのである。


入学当初はそりゃああっちこっちからいろんな告白をされていたけれど。


誰1人にもなびかなかったらしい。


なので2年生にもなれば、彼の恋人になることに憧れてる人たちはいても、実際に告白、なんて行動を起こす人はだいぶ少ないわけで。


そういうところも含めて、織くんはみんなの王子さまと呼ばれているのだ。

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