ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
あぁ……もう、織くん……あなたはどうしてそんなに……。
ああもう……!!
いいでしょう!!
描きましょう!!
こうなったら、私史上最高ランクのステーキを!!
だって推しに頼まれてるんだ、断れるわけがない。たかがイラストを描くだけのこと。
「……わかった、描く」
間を置いてそう答えれば、目を見開いた織くんが表情をふわっと柔らかいものに変えた。
ほぐれた笑顔。
不意打ちすぎて泣きそう。
最高すぎるこの顔面。
「よかった。すっごく嬉しいっ」
癒しの全てが詰まったような澄んだ笑顔にふたたび息が止まる。
なんでなの〜なんで私なんかのこんなステーキを……。
緊張のなか、なんとかステーキを上手に描くことができ。
「で、できましたっ、織くん!」
「うん。とっても美味しそう。バッチリ。ありがとう」
「……いえいえ、へへっ」
推しに褒められ、このときには私の顔面の神経は全てがゆるゆるに壊れていた。
雲の上で寝ている気分。
いや、マシュマロかな。
もうふわふわしちゃってダメだ。
織くんの笑顔、あれいけないフェロモン出てる。