ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「白井さん」
「ん?」
「名前、」
「え、」
「俺の名前、書くの忘れてる」
「へっ!!な、な、名前も?!」
『うん』とまるで当然と言いたげな返事が返ってくるんだから、びっくりしちゃう。
そりゃ、何かあるたびにめぐちゃんたちと一目散に探していた名前だけどさ……。
本人の目の前で、しかも彼のノートに書くなんて。難易度高すぎやしませんか。
「漢字知らない?これ」
そう言いながら、織くんが自分のノートの表紙を見せてくる。
「な、しっ、知ってるよ!」
どれだけ毎日見てると思ってるの!!
お勉強も得意な織くんは、テストの成績もいつもトップで。
毎回張り出されるテストの順位表も、織くんの名前を見に行っていた。
だから知ってるに決まってる。
「じゃあ、お願い」
「っ、」
しょっちゅう見てる名前だけどっ。
まさか本人の前で書くなんて思わないじゃん!!