ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。

大好きだった幼なじみに突然投げつけられた衝撃発言。


冗談かと思って彼の目を見ないまま笑って『なに広夢、反抗期?』なんて返したら。


『……真面目に』


彼の部屋のベッドの上で私が読んでいた漫画を取り上げた広夢が、怒った顔でそう言っていた。


そんな顔を見たのは、十数年一緒にいて初めてで。


あの時、私は、広夢の声の変化に気づいていたと思う。でも、気づかなかったフリをした。


というかずっと。
違和感を見て見ぬふりしていた。


それぐらい嫌な予感がして、それは見事に的中した。


『なんで急にそんなこと……』


『急じゃない。……初花知ってるだろ。俺が、堀さんのこと好きなの』


『……っ、』


本気だった。広夢の目は。


うん、知ってた。気づいてた。
でも気付いてない、ふりをしていた。


ずっと知らないふりをしていればいつか私の勘違いで終わると思っていたから。


でも、違った。

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