ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「ふっ」


突然、織くんが私の顔をじっと見て、正確には前髪の方を見て、急にフワッと吹き出した。


「前髪もかわいい」


「へっ……」


自分じゃ見えなくてなんのことだかさっぱりわからない。


なんだなんだと、急いでベッドから降りて、そのまま1階の洗面所の方へ向かって、鏡を見れば。


「はっ……」


前髪の右側だけが触覚みたいにピョンと跳ねているではありませんか。


な、なんでこんなことになる。


こんなの滅多にないよ!!


それなのによりによってなんで織くんに起こしてもらった日にこんなことになるの〜!


推しに変なところを立て続けに見られてしまった。


昨日からひどいよ。ステーキのイラストといい……よく生きてるな……白井初花……。


半べそをかきながら必死に水と手ぐしで前髪を整える。


まったくもう……。


「あれ、直しちゃったの?」


っ?!


後ろから声がして、鏡越しで背後に目を向ければ、キラキラオーラ全開の織くんがこちらを見ていた。


眩しっっ!!さっきは寝起きだったし慌ててたからあれだけど。


織くん眩しっっ!!

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