ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「そりゃ、直すよ!!こんなんで学校に行けないって!!」
「だったら写真撮っとくんだった。もったいない可愛かったのに」
この人は本当に……。
織くんってもっと口数少ないクールなイメージだったのに。
思ったよりもふざけたり、冗談をよくいう人だ。
「も〜織くん、あんまりからかわないでよ〜」
くるっと振り返って口を尖らせてそういえば、彼がこちらに一歩、また一歩と近づいてくる。
え。
トンと、洗面台に手をついて、その綺麗な顔がこちらを見つめている。
顔を上げればすぐそこに、推しの顔。
一気に心拍数が上がる。
な、なにゆえ……。
「……お、織くん?」
「本気」
「え」
「本気で、白井さんのことかわいいって思ってるから」
「っ、はっ、」
「トーストにいちごジャムとバター、どっちがいい?」
「えっ、あっ、いちごジャム、で」
「ん」
織くんはそう返事して私の頭に優しく手を置くと、そのまま洗面所を後にした。