ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「でしょ!!だからほんっっと、助かりました!!ありがとう柳瀬くんっ!」


改めてお礼を言えば、フワッと織くんが優しく笑って、その場がどよめく。


わかる。
織くんスマイルの破壊力はダイナマイト級だ。


「ううん。よかった。無事に届けられて。じゃあね」


織くんはそう言って私の教室を後にした。


周りは「織くん優しいカッコいい笑顔が最高すぎる」で一色。


ほかのグループの女子から「白井さんのおかげであの織くんの笑顔が初めて見られて感動」なんて言われちゃって。


恨まれたりするような状況にならずに済んで、胸を撫で下ろす。


よかった……。


めぐちゃんたちも、織くんが触った弁当を私たちも食べたい!なんて騒ぎだして。


私の弁当をなぜ織くんが持っていたのか、細かいことは、もう誰も気にしていなかった。


私のあの苦し紛れの嘘も信じてもらえたらしい。というか、織くんのあの笑顔の破壊力が凄すぎてみんなちょっと記憶喪失になったんだと思う。

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